ニューヨークを拠点に活動するアルトサックス奏者・作編曲家、及川陽菜(Hina Oikawa)が、2026年にファーストアルバム『Short Songs』をリリースする。音楽監修にはRyan Keberle、編曲・共同制作に小倉直也を迎え、現代ニューヨーク・ジャズシーンを担う若手実力派ミュージシャンたちと共に制作。ラージ・アンサンブルと短歌を結びつけるプロジェクトから生まれた作品である。タイトルは、音楽(ジャズ)と並ぶ及川のもうひとつの表現である「短歌」の直訳だ。
本作では、伝統的ラージ・アンサンブルの編成をベースに、短歌の言葉を歌詞として用いるだけでなく、短歌自体から着想を得た楽曲や、「五・七・五・七・七」という三十一音の構造そのものを、楽曲と即興演奏の設計へ取り込んでいる。冒頭曲「Introduction」では短歌の音数を拍子として再構築し、最終曲「Thirty-One Syllables」では三十一文字をメロディの骨格へと反映。「定型という制約の内側にこそ自由がある」という確信が、アルバム全体を貫いている。
また、現代短歌は日常の風景を拾い上げ、新たな光を差し込む表現でもある。いまの社会において、言葉になる前にこぼれ落ちていく感情や出来事を、及川は即興音楽と結びつけることで、都市に生きる個人の切実な情動を描き出している。短歌アドバイザーには、「塔短歌会」を主宰する現代短歌を代表する歌人、吉川宏志を迎えている。
ヴォーカルにはベトナム系アメリカ人のMỹ Tâm Huynh。日本語を母語としない彼女の、透明感あふれるフラットな歌声が言葉を音楽のなかへ自然に溶け込ませる。及川自身もアルトサックスで全編に参加し、タイトル・トラック「ショート・ソングス」などで印象的なソロも聴かせる。
活況をみせる現代ラージ・アンサンブルのシーンにおいても、短歌の構造と即興演奏を有機的に結びつけた例は稀である。本作は、及川陽菜の独自の創作視点を鮮やかに提示するデビュー作となった。
バンドリーダー・アルトサックス・フルート・作曲・編曲・短歌:及川陽菜
テナーサックス・フルート:Sam Dillon,
バリトンサックス・クラリネット・バスクラリネット:Skyler Hagner,
トランペット:Summer Camargo,
トランペット・フリューゲルホルン・作曲・編曲:Naoya Ogura,
トロンボーン:Altin Sencalar
ピアノ: Ben Rosenblum,
ベース: Marty Kenney,
ドラム: Alon Benjamini,
ボーカル: Mỹ Tâm Huynh
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アドバイザー:Ryan Keberle,
アシスタントプロデューサー・指揮者:Joseph Herbst
録音:Todd Carder, ミックス・マスタリング:Dave Darlington
写真:平木希奈, 上田康博,
デザイナー:伊藤健,
ライナーノーツ:村井康司,
短歌アドバイザー/特別寄稿:吉川宏志
2025年7月 The Bunker Studio, Brooklyn NYにて録音
| 01 | Introduction (comp. by Hina Oikawa) | 1:21 |
|---|---|---|
| 02 | Manhattan (comp. by Hina Oikawa) | 4:07 |
| 03 | Broken Meter (comp. by Naoya Ogura) | 5:28 |
| 04 | 湯葉の国 (Yuba no Kuni) (Hina Oikawa: Lyrics / comp. by Naoya Ogura) | 4:39 |
| 05 | You Are Still Here (comp. by Hina Oikawa) | 5:10 |
| 06 | Beyond the Night, Swallowing the Morning (comp. by Hina Oikawa) | 7:33 |
| 07 | Summer Song (comp. by Dave Brubeck / Arr. by Hina Oikawa) | 5:19 |
| 08 | Short Songs (Comp by Hina Oikawa, Arr by Naoya Ogura) | 6:17 |
| 09 | Thirty-One Syllables (comp. by Hina Oikawa) | 5:10 |
total time 44:19
サックス奏者・作曲家である及川陽菜のデビュー・アルバムは、ニューヨーク・ジャズシーンにおける重要な新世代アーティストの鮮烈な第一声と言える作品である。ニューヨークを代表する若手実力派ミュージシャンたちを迎えた本作は、高度な音楽性と深い個人的表現、そして卓越した完成度を兼ね備えている。
及川のアレンジは豊かな創造性と確かな構築力に支えられ、現代ジャズと自身の日本的ルーツを自然に結びつけている。いくつかの楽曲では日本の詩歌を歌詞として取り入れるなど、その独自のアプローチは際立っている。
本作は、他に類を見ない魅力を備えた作品であり、真に独創的な創作ビジョンを持つアーティストの登場を印象づける一枚である。(Ryan Keberle)
初夏の森を吹き抜ける風のような、爽やかで透き通ったサウンドが心地よいアルバムでした。ニューヨークの街で吸収したさまざまな経験や感覚が、及川陽菜さんならではのフィルターを通して一つの豊かな世界観として紡がれています。 随所に彼女の優れたプロデュース力が感じられ、アーティストとしての明確な意思と力強いステートメントが刻まれた印象的なデビュー作です。リリースおめでとう!(加藤真亜沙)
ニューヨークを拠点に活動するサックス奏者、作編曲家、バンドリーダー、歌人。
2018年、若手アーティストの登竜門Seiko Summer Jazz Campで優秀賞を受賞し、2021年に渡米。現在まで、自身のアンサンブルを率いるほか、ジャズ・アット・リンカーン・センター主催のプログラムへの出演や、The Jazz Gallery, Drom, Smalls, Dizzy’s, Ornithologyといった主要なジャズクラブでの演奏を通じ、ニューヨークの活気あるジャズシーンにおいて独自の地位を確立している。
2025年2月には、自身のグループ「Hina Oikawa Short Songs Band」を率い、Culture Lab LICにてプロジェクト『Short Songs』を発表。日本の詩的伝統とモダンジャズの表現を統合した革新的なプログラムを披露し、高い評価を得る。2026年には同プロジェクトの芸術性が認められ、クイーンズ・アーツ・ファンド(QAF)の助成対象に選出された。
ニューヨーク市立大学クイーンズ校(CUNY Queens College)を極めて優れた成績で卒業し、最優秀編曲家に贈られる「マービン・ハムリッシュ賞(Marvin Hamlisch Award)」を受賞。現在は日米を跨いで、異なる芸術分野や文化的アイデンティティの架け橋となる活動に献身している。また、ダダリオ・ウッドウィンズ(D’Addario Woodwinds)の公式エンドーシング・アーティストを務める。
<実力若手アーティストが集結する発売記念ライヴ, Seiko Summer Jazz Camp関連他、注目の演奏多数!>
7日:停車場 (小沼奏絵トリオ)
9日:Blue Note Tokyo (SUMMER JAZZ CAMP ALL STARS)
10日:関内Apple (David Bryant Trio)
11日:江古田そるとぴーなつ (及川陽菜
12日:御茶ノ水Naru (The Skillman)
13日:Body&Soul (小倉直也ジャズオーケストラ)
14日:小岩コチ (及川陽菜
16日:有楽町 I’M A SHOW (Seiko Summer Jazz Camp 10th Anniversary Special Concert)
17日:No Room For Squares (Hina Oikawa NY Quartet)
18日:六本木Alfie (Hina Oikawa NY Quintet)
◉ 8月19日(水):新宿Pit Inn / Hina Oikawa Short Songs “Short Songs” リリースライブ
及川陽菜(A.Sax, 短歌), 曽我部泰紀 (T. Sax), 陸悠(B.Sax), 大泊久栄 (Tp), 小倉直也 (Tp), 治田七海 (Tb),
David Berkman (Pf), Evan Gregor (Bs), Gene Jackson (Dr), 寝占友梨絵 (Vo), 伊藤健 (Visual)
◉ 8月28日(金):100BAN Hall / Hina Oikawa Short Songs “Short Songs” リリースライブ
及川陽菜(A.Sax, 短歌), 高橋知道(T.Sax), 古山晶子(B.Sax), 広瀬未来(Tp), 小倉直也(Tp), 礒野展輝(Tb), 李翔太(Pf), 坂井美保(Bs), 坪田英徳(Dr) 平野翔子(Vo), 伊藤健 (Visual)