スウェーデンの新星ヴォーカリスト、サラ・アルデン。
2025年、スウェディッシュ・グラミー賞〈ジャズ・オブ・ジ・イヤー〉を受賞した彼女が、2作目となる新作をリリースする。
デビュー作『There Is No Future』は、“未来はない”という強い言葉で世界に問いを投げかけた作品だった。そのラストに置かれた「What a Wonderful World」で、彼女は最後の〈world〉という言葉をあえて飲み込んだ。「この素晴らしき世界」と歌われるその言葉に対し、今、本当にそう言えるのか──その沈黙は静かな問いとなり、日本でも大きな共鳴を呼んだ。
そして本作は、“World”という言葉から始まる。
それは、前作で語られなかった言葉から立ち上がる、新たな物語であり、2年の時を経て、彼女がいま世界に向けて差し出すメッセージである。
自然、生命、人生、平和、そして愛。激動する時代のただ中で、絶望に身を委ねるのではなく、今、何が大切なのかを静かに見つめ、普遍的なものを確かな声で歌い上げていく。
歌詞は英語だが、音楽は一聴して身体に届く。そこにあるのは、言葉を超えた感触だ。
本作の一曲で、ニルス・ラングレンが参加。その温かな響きはサラの歌声に寄り添い、作品に深い呼吸と余韻をもたらしている。
世界が、地球が、激変するこの時代に語られる歌。
透明感あふれる声と美しいコンポジションとともに、いまを生きる私たちへとそっと手渡される、新しい物語の幕が開く。
サラ・アルデン (vo)
アウグスト・ビョーン (p)
ダニエル・アンデション (b)
Guest:
Sara Aldén サラ・アルデン (vocals),
Daniel Andersson Runevadダニエル・アンデション・ルネヴァド (upright bass)
August Björn アウグスト・ビョーン (piano and pedal organ),
Hannes Bennich ハネス・ベニック (saxophone M2),
Nils Landgren ニルス・ラングレン(trombone M3),
Michelle Willis ミシェル・ウィリス(vocals M5),
Alma Möller アルマ・ムラー (viola M1, 2, 3 & 8)
Recorded by Johannes lundberg at Studio Epidemin in 2025
| 01 | World | 3:42 |
|---|---|---|
| 02 | The Rain feat. Hannes Bennich | 7:26 |
| 03 | Lean On Me feat. Nils Landgren | 5:55 |
| 04 | You Taught Me | 3:33 |
| 05 | Unlearn feat. Michelle Willis | 3:42 |
| 06 | Come! | 4:20 |
| 07 | The Seed (Free Improvisation) | 02:46 |
| 08 | This Tree Once Used to Bloom (for Palestine) | 6:20 |
| 09 | Hands Full of Love | 4:20 |
| 010 | In The End | 1:18 |
total time 43:44
サラ・アルデンは、スウェーデン生まれのジャズ・ヴォーカリストであり、ジェンダー研究者。
ストックホルム北西の田園地帯Hedåkerで育ち、8歳からピアノを学び、のちにヴォーカルへと傾倒する。12歳でユース・ビッグバンドにスカウトされ、13歳より地元ビッグバンドで演奏するなど、若くしてジャズの伝統に根ざした実践的経験を積んだ。その後、ヴェステロース音楽高校、Lunnevads Folkhögskolaで学び、ストックホルム王立音楽大学でジャズ理論を修得。さらにヨーテボリの音楽・演劇アカデミーにてヴォーカルの学士号および修士号を取得し、同大学でジェンダー実践の修士号も修めている。
ECMでも数多くのリーダー作を発表してきたジャズ界の巨匠アンダーシュ・ヤーミーンはメンター的存在で、長年、活動や、制作の支援をうけてきた。そうした背景のもと、サラはスウェーデンのフォーク・ミュージックを土台に、ジャズ・スタンダードからオリジナル楽曲まで、透明感のある声と卓越した技術、そして深い思索に裏打ちされた表現で、親密かつ生命感あふれる音楽を紡いでいる。
2022年に発表したEP『A Room of One’s Own』が高く評価され、2024年のデビュー・アルバム『There Is No Future』は、2025年スウェーデン・グラミー賞〈ジャズ・オブ・ジ・イヤー〉を受賞。2026年1月にスウェーデン大使館主催の公式パーティの歌手に選ばれ、日本人ギタリスト、藤本一馬と共演し、賞賛を集めた。4月には新作『Force of Nature』をリリース予定。同時代を生きる人々に静かに寄り添い、未来への希望を描き出す存在として注目を集めている。